真夜中の宴

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視界に映るのは敵の背中。 予想通り、攻撃を放つ瞬間と放った直後は隙だらけだった。 刀にありったけの命力を注ぎ込み、子供の背中へ振り下ろす。 確実に当たる。これだけの命力を籠めれば、さすがに堪えきれないはず。 拳で真っ二つに裂かれた、牛若丸の体が地に崩れる。 「────!」 何故だ? 振り下ろした刀の先が、何故か敵から離れていく。 いや刀だけじゃなかった。 視界全体が敵から遠退いていっている。 バランスが……。 不意に自分の胴体へ視線を向けると、腹の辺りから下が無くなっていた。 腹より下だけが、地面に立ち尽くしている。 何故だ?いつの間に……。 子供は動いていない。 その原因は、地面へ投げ出された時にわかった。 首を無くしたはずの家康の体が、変わらず血を噴き出させながら牛若丸の刀を構えていた。 家康の体は斬った後、独特の構えを見せている。 あれに斬られたのか……。 そうか。女の能力か。 地面には自分の体から流れ出た血が、あっという間に広がっていく。
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