真夜中の宴

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女の方は、死体を操る能力か。 やられた……。 腹から下を失ったことにより、異様な軽さを感じる。 さらに一瞬にして辺りが暗くなったように、視界が閉ざされた。 圧倒的な力の前に、心に残されたのは絶望。 意識が遠退いていくのがわかる。 自分の体から溢れ出ている生臭い血は、妙に暖かかった。 そんな中、空から降るように、子供と女の声が残された聴覚に届いてくる。 「ほらー。空。油断してるから、後ろを取られるんだよー。あたしに感謝しなよ」 「わかってたよ。別に助太刀してもらわなくても、何とかなってたよ。それより早く天海姉ちゃんに報告しなよ」 「はいはい。聞こえてるでしょー?天海!ヒカルが通る道は作ったよ!あたし達はここで待機していればいい?OK、わかった!二宮は予定通り、新撰組が手に入れたポセイドンの確保にむ───── そこまで聞いて、音が完全に聞こえなくなった。 局長……。どうか生き延びてください。 静寂と闇が取り巻く中、俺は自分の意識を手放した。
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