真夜中の宴

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─────古手川仁───── 全てを焼きつくす炎。降り行く階段は、どこも熱気に包まれ、火の手が全体に広がっている事がわかる。 既に炎で閉ざされてしまった道は、美沙のフードガンと杏奈から放たれる水の能力で消火活動を行って、道を切り開き先へ進んでいく。 「熱いー!」 美沙は全身汗だくになりながらも、フードガンから水を放ち続けた。 逃げようと決断したのは俺の意志ではない。 宴会場が火の手に囲まれた時、一緒に居た沖田さんからの指示だった。 『君達は和也くんを連れて、ここから離れるんだ』 『俺も行きます!』 沖田さんは他の隊士を引き連れて、局長室の護衛にあたる。 俺は新撰組とチーム登録してるんだ。逃げたとしても、何も変わらない。 『駄目だ。足手まといになるだけだよ。君は三人を連れて外へ出る事が任務だ。』 言われて気が付く。確かに適切な任務だ。俺が行っても足手まといになる事は間違いない。 沖田さんは気を遣って言ったのかもしれないが、俺に出来る事は和也達を逃がすこと。 「あっちだ!」 48階の宴会場から下り続けて現在24階。 階段は行き止まりになり、その先には休憩所として使用されているメインルームがある。 そこを抜ければ、一階まで辿り着ける階段がある。 俺達はメインルームに向けて走った。
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