真夜中の宴

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「────!」 何か来る? 杏奈はいち早くそれに気付き、体の動きをピタリと止めた。 「止まって!」 杏奈の呼び掛けにより、和也と美沙は慌てて足を止めた。 他の場所と変わらず、火の手が広がるメインルーム。 休憩所のわりには集会が行えるほどの広間。 上がるための階段と、下がるための階段を結ぶ道の途中にあるのがこのメインルームだ。 壁際に設置された沢山のソファーは激しく燃え上がる。 一直線に階段まで続く道の先。 対面からは、嫌な予感としか言い様がない何かが近づいてきていた。 十中八九、敵。 新撰組のメンバーは怪我を負っている局長を守るために、総動員で頂上の方へ集められている。 俺は背中の鎌に手を伸ばした。 全身に感じる悪寒。 離れていても、敵がこれまでとは異質な存在であることを知らされる。 敵だとしたら、俺が足止めをするしかない。 その人物は道の中央を歩き、姿をゆっくりと見せた。 スラッとした細身の体型。 金色に染まった短い髪。 凍りつく様な鋭い目付きに、首に下げた金色のネックレス。 見覚えはない。
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