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ユキヤ。名前を呼ばれた男は深い笑みを浮かべてから、和也に返事をした。
「はははっ!名前まで知ってるのかよ。そうだ。俺の名前は蒼井ユキヤ。よく覚えとけ。雑魚野郎。その怒りっぷり。どうやら知っているようだな」
まさか。こいつが。
行き交う会話の流れを読み取り、何となく理解することが出来た。
「俺がはるかを殺したって。ははははっ!あいつの顔、ボコボコだったろ?苦しんで叫ぶ中、沢山殴ってやったからな」
和也は無言で光刀を構えた。
「気持ちよかったなあ。悲痛な顔で涙を流しながら、苦しむアイツを殴るのは!」
はるかを殺した男。
鼻の奥がツンとなり、全身が熱くなった。
燃え上がる炎のせいじゃない。
純粋な怒りからだった。
復讐しなければいけない相手が、手が届く位置にいる。
あんな風に、はるかを殺した奴が目の前に。
それでも……。それでも……。
今はアイツに勝つことは出来ない。
頭の中で鳴った警報が本当だとしたら、あいつのレベルは最低でも一万は超えている。
実力の差は歴然だった。
「殺してやる!殺してやる!」
憎しみに満ちた和也。
今は逃げることが優先だ。
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