真夜中の宴

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「大丈夫です。私は和也君達と一緒にいるって決めたんです」 決め手となったのは、杏奈の言葉だった。 意志を貫き通す想いと同時に、敵意はないと懸命に伝えようとする杏奈の瞳に心が少しだけ折れたのか。 「あとでチーム登録を行うぞ。それは約束だからな。先に宴だ。終わったら、お前らは新撰組から出ていけ」 と言い放ち、小さく舌打ちを打って納得出来なそうな表情で去っていった。 優君の手伝いもあり、何とかその場は納まった。 「ああ言いながらも、和也君達の関係に少し嫉妬しているんだと思うよ」 優君の優しい笑顔。杏奈もその言葉を聞いて、胸を撫で下ろした様子だった。 「良かったねー。杏奈ちゃん」 真っ先に喜んだのは美沙だった。 はるかが居れば、やはり喜んでいただろう。 はるか……。本当に少しずつかもしれないけど、ゆっくり前に進んでるよ。 DIMのマイデータには、所属チームが“春夏”と書かれている。 俺はその文字を見ると、不思議と心が安らぐような気がした。 AM0:05 次第に賑わう屯所内。手の空いた人達からせかせかと準備を行い、終戦記念の宴が始まった。
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