真夜中の宴

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局長の挨拶が終わると、それぞれのテーブルに分かれて、食事を取りながら賑やかな雑談が始まる。 局長は挨拶が終わると、すぐに自室に戻ったらしい。 会場内には、残った組長達と隊士が少し浮かない顔ながらも会話を重ねていた。 ゲームの中で、食べたり飲んだりしている姿。 食事をしていることに違和感を覚える。 理由は、卑弥呼さんが言っていた“現実”という言葉が引っ掛かっていたからだ。 ここはゲームの世界。 パソコンに繋いで、本体はその目の前で意識を失っている。 意識だけが、この世界に運ばれているのだ。 しかし、食べている飯は本当にお腹を満たしてくれていた。 錯覚なのだろうか。 きっと俺が知っているブラックアウトの知識なんて、入口にしか過ぎないのだろう。 不意に、メインストーリーが何なのか。 ブラックアウトのクリアには何が待っているのか考えると、妙に胸騒ぎがした。 俺の目的はユキヤを見つけることだ。 それが変わらなければいい。 AM2:57 そろそろ時間的にお開きであろう時に、少し外の空気が吸いたくなった俺は、優君や仁達がいるテーブルから離れて近場のテラスへ出た。 夜空には、月と“見せかけであろう星”が無数に浮かんでいる。
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