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そういい残し、その手の人物はあくびをしながら教室に戻っていった。
それが柳瀬くん。
単純だが、それからわたしは柳瀬くんを好きになった。
しかし、今回はそれが仇となってしまうのだった。
「そいつか……。」
放火魔は、わたしの頭の中を読み取ったのか、そのまま消えようとする。
「ま、待って!?違う、その人じゃない!彼は違うの!」
わたしの制止も全く意味をなさず、そいつは霧のように消え去った。
「そ、そんな。……わ、わたし……。」
一人残されたわたしは、これがただの夢ではないと知りながら、自分の失態を呪うのだった。
「………むうぅ……。」
気の抜けない呻き声を上げ、アルファは目を覚ました。
「お、起きたか!?」
「わ、我はいったい…。」
起きたアルファはまだ、自分の状況がわかってない様だった。そりゃそうだ、俺だって解らない。今アルファは俺のベッドで寝ている。
「変なもん使って倒れたんだよ、お前。」
「そうか………って、変なもんではないっ、あれはれっきとした魔法で――――――!」
「けど、ありがとな、助けてくれて。」
「む、むうぅ~。」
笑顔でさえぎる俺の言葉に、怒っていいのか、喜んでいいのか分からなくなるアルファは、唸り声を上げた。
「貴様は卑怯だ、そんな顔で言われたら、何も言えん…。」
恥ずかしそうにうつむくアルファ。しかし、俺には聞かなければならないことがある。
「どうして急に倒れたんだ?」
あの時アルファは、「マナが残り少ない――――。」とか言っていたが、それが関係するのか?
「察するとおり、マナの枯渇が原因だ。」
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