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「マナ?」
聞いたことがない単語に、俺は頭に?をつけた。
「む、そうだな、魔力とでも言うべきか。要は我の特殊な力の根源だ。」
「つまり、アルファの使った力は、マナによるものってことか?」
「いや、そもそも我ら悪魔や、憎き天使ども、その体はマナによってできている。そう考えると、マナは我らそのものだ。」
アルファの言うことがホントだとすると、それはつまり、マナがなくなれば、アルファは消えるってことか?
「なに、心配せずとも、固定された体は一生残るから、死ぬことはない。」
「な、なんだ、そうなのか。」
安心した。死ぬことがないなら、俺は心置きなく学校に行けるな。
「む?どこへ行く、吏九。」
「どこって学校だよ。もう朝だからな。」
「えっ?」
アルファはとっさに窓を見る。窓はカーテンで閉められているが、朝日が少しこぼれていた。
「吏九、貴様朝まで………?」
どうやら、アルファは朝だとは思ってなかったらしい。
「あ~、まあ何度か寝かけたけどな。」
「そ、そうか……。」
喜ぶと思ったが、アルファは少しだけ悲しそうな笑みを浮かべた。俺にはその理由が分からない。
「アルファ、どうし――――――。」
「おーーーーい、りーーーくーーーーー!」
「…夕季の奴、また叫びやがって。」
「………、言って来い吏九。我はここで待っておる。」
アルファは、またいつもの偉そうな態度に戻っている。さっきの表情が気になるんだが。
「………、じゃ、行ってくる!」
気になるが時間がない。俺は夕季の叫び声を止めに、急いで玄関に向かった。
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