ぷらすアルファ1後編

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「…すまない、吏九。」  我は吏九の出て行った扉に、一人呟く。  我は2つ嘘をついた。  ひとつはマナの話し。  本当は、マナが枯渇すれば、我は消える。しかも、近い内に。  吏九を心配させたくなかった。悲しんでほしくなかった。こんな気持ちは初めてだった。一緒にいるだけで、胸が高鳴り、顔が赤くなり、爆発しそうになる。 「…しかし、我にはこの感情がなんなのか分からぬ。」  そう、だからもう1つ嘘をついた。  我はここから出て行く。  初めて会ったときは、ただ波長が合うというだけで、彼を契約者に選んだ。無礼な奴だが、パートナー(奴隷)が必要だからと、無理やり居座った。  しかし吏九は、始めのうちは嫌がったが、受け入れようとしてくれた。そんな奴初めてだった。 「兄様みたい……か。」  しかしこれはきっと別の感情。何かは分からないが、兄妹愛ではない、いけない感情だ。そう思って押し殺すしかない。 「…放火魔か。」  せめて、彼が安全に暮らせるよう、最後の仕事をしよう。 「これはきっと、我らの問題のはずだ。」  そう呟き、我はこの家から出て行くのだった。 「まああれだな、暇だな!」 「……暇ならあっちに行ってろよ、谷口。」  教室について、一息つこうと思ったらこれだ。席の前に、当たり前のように近づく谷口に、俺はため息をつく。  今日は早めに学校に着いたから、まだ生徒もまばらである。 「そういえば、今日は目にクマができてるな、どうした吏九?」 「どうしたもこうしたも、昨日は青い炎のせいで寝不足なんだよ…。」 「はっ?」  まあ谷口が知らないのは当たり前か。しかしあれ程の火事なら、近くに住む夕季なら気づいたはずだ。 「おい夕季、ちょっといいか。」  谷口は無視し、俺は近くで他の女子と、井戸端会議をする夕季を呼んだ。ホント女子って、喋るの好きだな。 「ん?なになに?」  近づく夕季。 「昨日の夜、俺んちで何かなかったか?」 「え?」  聞き返す夕季。確かにこれじゃあ意味が分からんな。自分の家の異変を家の住人が聞いているのだ。 「と、とりあえず何もなかったよ?」  わけも分からず質問の回答をする夕季。こんな質問を返すとは、出来た幼なじみである。  しかし、 「…夕季が気がつかないとはな。やっぱり……。」
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