ぷらすアルファ1後編

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 あの炎の明るさで近所騒ぎになっていない時点で、この放火魔が普通の犯人ではないということが分かる。報知器も反応してないしな。  そうなってくると、本間の夢の話しもあながち冗談ではなくなってくる。 「本間の夢か……。」  本間が見る夢には、いつも顔のわからない男が出てくる。  その男は本間いわく、悪人を狙い放火を行い、その悪人は本間に判断させていた。 「まるで正義の味方気取りだな。」  だが、今回は俺の家を狙ってきた。となると、悪人ばかりを狙っている訳ではなさそうだ。自分で言うのもなんだが、そこまで悪いことはしていないと、自負している。遅刻はするけど……。  まてよ?  確かアルファは、あの炎をマナでできていると言っていたはずだ。  そしてそのマナは悪魔の魔力の根源。アルファの嫌いな天使の源でもある。とアルファは言っていた。 「どうした?吏九。」  俺が考え事をしているせいか、谷口が怪訝な顔で近づいてきた。 「なんかあったか?」 「なあ谷口。……悪魔の敵はなんだ?」 「はあ?」  いきなりの質問に、オカルト野郎の癖に馬鹿を見る目で見てきやがる谷口。しかし、今の俺にはどうでもいい。「いいから答えろ」と促す。 「……まあ普通に考えりゃ、イギリス発祥の悪魔払い師『エクソシスト』とか、神様なんかだろ。」 「天使は?」 「まあ考え方によっちゃ、神様の使いである天使も敵だわな。……って急になんだ?お前からオカルト話とは珍しい。」 「…………なら、天使の敵はなんだ?」 「あん?まあさっきの話の流れじゃ、間違いなく悪魔だろうな。」 「……悪い谷口。早退するわ。」 「―――お前もやっと我が世界の良さにきがつい―――って早朝から早退発言!?一間目狩部だぞ!?」  谷口の切れのいいツッコミには悪いが、俺はもう教室を飛び出していた。 「俺は馬鹿か!」  走りながらも自問自答。  そうだ、狙われたのは俺んちでも、ましてや俺でもない。  自分が敵と思ってる相手が、自分が憎んでる相手が、自分にアクションを起こさないとなぜ分かる。相手への一方通行なわけがない。 「狙われたのはアルファだ!!」  俺は自分を忌ましめるように、走りながらも言葉を吐き捨てた。
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