ぷらすアルファ1後編

7/8
前へ
/8ページ
次へ
「む?高出力のマナの反応。……あっちか!」  アルファは消えかけた身体に鞭を打つように、放火の犯人を探していた。  契約者なしでのマナの使用は、思った以上にアルファを疲弊させていた。  幸い、この時間帯は人の気配はなく、犯人探しには問題ない。 (我の姿を見たらすぐ話しかけてくる奴がいるからな。)  今までの経験上、この姿で一人でいると、大抵交番とやらに連れていかれ、迷子扱いされた経験がある。  ふと、吏九の言葉を思い出した。 「チビではない!!」  思い出しつつ、一人でキレるアルファ。  そうほんとはチビではない。この姿はマナの消費を最大限抑えるため、できるかぎり小さくしているだけなのだ。 「まったく、それを吏九はわかっておらん!」  思い出し憤慨しつつも、住宅地を歩くアルファ。どうやらこの先からマナの反応を感じるようだ。 「あの家か。」  吏九の家と同じく、中流家庭の一軒家に強い反応があるようだ。 「しかしこの住宅地、変だな。」  いくら人が少ない時間と言っても、人っこ一人いないのはおかしい。  目標の家を見ると、どうやら女学生が学校へ行くところで、玄関を出ようとしていた。 「……勘違いか?」  しかしこの家の中に敵がいるなら、この女学生が何か知っているはずである。 「おい小娘!話がある!!」 「はい?」  女学生は前髪で顔を隠しながらも、こちらの声は聞こえているようだ。 「この家から出てきたなら、この家の事情をなにか――――」 「あなた迷子?お母さんは?」 「知っているの―――母上は知らん!我の話を聞け!!」 「なら、お父さんは?」 「父上ならダンテ地獄の最下層に―――ってこの下りはもういい!」  小さな子どもだと思われているのか、女学生は話を聞こうともしない。 「ごめんね、私学校だから交番には届けられないの。気を付けて帰ってね。」  そう言うと女学生は歩いて行く。 「待てっ!………ここまでして気がつかんと思ったか?」  ピタリと止まる女学生。  しかし、アルファは女学生ではなく、女学生の隣を睨んでいた。 「なあ、でてきたらどうだ、『グザファン』よ?」  女学生がピクリと動くのを、アルファは見逃さなかった。 「グザファン?それは私のことか?」  女学生に取り憑いているのだろう者は、女学生の口を使い言葉を発した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加