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そう、その者の名は『グザファン』。天界に炎を放ち、地獄へ落とされた悪魔の一人である。
「とぼけているつもりか?我を前によくもぬけぬけと。」
「フム、貴女と私は初対面ではないか?」
ふざけているのか、グザファンはアルファを前に何も感じていないようだ。
「貴様!我を光の12翼、魔王『ルシファー』の娘と知っての狼藉かっ!」
「『ルシファー』?」
グザファンは不思議な者でも見るかのごとく、女学生の顔で複雑表情したが、すぐその表情は笑いへと変わった。
「くくくくっ……―――――」
「何がおかしい!」
「これが笑わずにいられるか?光の12翼と言えば『ルシフェル』のことか?その『ルシフェル』が『ルシファー』と言いう名で『魔王』?しかも自分はその娘ですときたものだ!笑わずにどうしろと!?」
グザファンはさらに続ける。
「そして私は『グザファン』という名前。何を言っているのか、皆目検討もつかん。こうなると私は『悪魔』とでも言われそうだな?」
「……何を言ってるのだ?」
グザファンはアルファの父、ルシファーと共に天界に反旗を翻した当事者で、大天使『ミカエル』により地獄に落とされた、堕天使もとい悪魔である。
「…………まるで本当に悪魔のような扱いだな。」
さも自分は悪魔ではないと言い張るグザファンに苛立ちを覚えたアルファ。
「貴様は我が父上と同じく、天界の革命者の堕天使、いわば悪魔だぞ!」
そうはっきりといい放った。
するとどうだろう、グザファンの顔は、怒りを露にした表情になった。
「私が堕天使だと?この私がっ!?」
女学生の身体を使い、怒りを全面に押し出すグザファン。アルファに悪魔扱いされたことに、そこまで憤慨するようなものだろうか。
「それに、私は『グザファン』などではない。私の名は『ゼポン』だ!」
「…………。」
どうやら何がおかしいようだ。
『ゼポン』といえば、『グザファン』の以前の名前、つまり天使だった頃の名である。
堕天使が、天使だった頃の名前を名乗ることはまずない。堕天するということは、天界の主である神から追放された者のことだ。そんな者が、神から授けられた名前を語るなど、ありえないことだ。
「……まさか罠か!?」
グザファンはアルファの父と一緒に、地獄に落とされていたはずだ。それがこの世界にいるということは、少なからず天使が関わっているはずである。
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