頼みの綱

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『今こそ、ですね……』 「はい?」 『ドストゥム・ノムラ。少し待っていて下さい』 ビルセル大使はそう告げると、電話を切った。 ーーいったい何なのだろう…… 野村氏はそう思いながら、受話器を戻した。 ーーにしても、『今こそ、ですね……』というのは一体どういう意味なのだろうか? 話終える間際にそう呟いたビルセル大使の意図が、野村氏にはいまいち掴めずにいた。 だが今の彼にはその真意をゆっくりと考える時間など用意されてはいなかった。 この窮地をどうするか。 すぐにそれが再び脳内を支配し、彼は再度頭を悩ませるのであった。
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