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学校までは、三十分ほどで到着した。大した距離ではなく気が付けばもうついてしまったと感じた。
「ありがとう、まぁ駄目だったらまた電話するわ」
悪友はそれを聞くと、そのまま踵を返すようにして、始まったばかりの夜の街に消えて行った。
学校前、校舎の所々に明かりが灯り、三分の一程だけ教室を使っている事がよく解った。
「学校なんてダリィな。やっぱもう帰ろうかな」
少し考えた後、やはり馬鹿らしくなり家に帰ろうとしたその時。
「まぁ待ちなさい神崎君、知り合いがいない訳じゃ無いんだろう?」
そう言い呼び止めたのは、自分をこの定時制に留まらせた張本人だった。
「君の様な人間は一人じゃない。だからきっとこの教室なら大丈夫だ」
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