第10話

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「ただいまー」 俺は、いったん家に帰った。 さっきのジャンの説明からすると、ここは俺の本当の家ではないはずなのだけど。 「あ?お帰り?早く着替えて、飯だよ」と怒鳴るように言う母さんは、俺の母親そのものなのだ。意識してるから違和感がある訳で、ジャンが何も言わなければ、ここは、我が家そのものだったのかもしれない。 『だからって、1月を戒めるのもどうかと思いますけどね』 ミサキは我が家に付いてきた。覚醒種以外に、この小人が見えるものは無いという。 「メシメシぃ?」と、上機嫌で階段を下りるのは、俺の姉馬渕清香(サヤカ)高2。 「っていうか、俺が家族の前でお前と話してたら、頭おかしい人じゃん」 『大丈夫です。私に話しかけるときにはテレパシーを使えばよろしいのです。』 は。なるほど。    って、ぉぉぉぉぉおおおおおい! 「は?テレパシー?俺人間なんですけどぉ?」『何のための覚醒種なんですか。』 いや、テレパシーを使うために覚醒種になった訳では...。 今日の夕飯は、魚である。俺は白身魚が大っ嫌いだ。(っていうか、焼き魚全般) 「「「「いただきまぁス」」」」と、俺、姉、親父、母さんの声が響く。 『ご主人の飯おいしそぉ?』俺は、答える事が出来ない。なぜなら、 テレパシーの使い方が分からないからだ。 こうなってくると、ミサキとの会話(っていうか、ミサキが勝手にしゃべってる)は、もはやイジメの領域である。 『この大根おろし、おいしそう!』とか、『白くてツヤツヤしたお米もイイですねぇ』 なんて、食レポみたいな事を抜かしてやがるが、俺は無言である。 「どうしたの?大知。具合でも悪いの?」と母。いや、具合悪い以上に具合悪いみたいな、自分でもよくわからない状況なのだが、家族には話ようも無い。 別に、秘密とかそういうんじゃないけど、なんか、「ぼくの隣に小人さんがいるの!」みたいな厨2チックになる前の感じの事しか答えられない今の状況を考えると、 「うん。なんか腹の調子が悪いみたい。寝てる。」と答えるのが無難である。 俺は、そのままベットに入り、ミサキに怒鳴り散らしていた。
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