第1話【 …home 】

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「 お前… 馬鹿にしているのか?」 何の感情も感じられない程の、冷たく冷静な声が耳に届く。 「 ハハハ… え~とッすねぇ、決してそんなつもりは無いんすけどね。なんて言ったらイイのか、タイミングが… ハハハ。」 本当なら、「お前がこのタイミングで来たのが悪いんだろコラ!文句言いてぇのはこっちの方だ!」とか、言ってやりたいんだが… 何だろうね。もうビビるにしても、チビる小便すら残っちゃいないし、何より余りに現実離れをしたこの状況に、俺の頭が付いていってないと言うのが正直な処。 「 フンッ!お前みたいな奴は初めてだ、まぁ面白い見せ物だったよ 」 淡々と続けられた女の言葉に、やはり温度は感じられず、先程からずっと壁に向かって両手を着いたままの俺には、どんな表情をして話しているのかさえ想像に難しかった。 …ただ。 「 1つだけイイっすか?」 「 …ん?何だ?」 「 あのォ~、あのですね。ムスコさんを仕舞わせてもらってもイイっすか?ハハハ…ハア。」 いい加減マジで寒い! お陰さまで俺の自慢のムスコさんも、ロケットランチャーからハンドガン… 嫌、の弾丸-タマ-?位にまで縮み込んじまった。 ( 可愛そうに… ) …すると 「 何だ?まだしまって無かったのか?どうりでイヤに"匂う"と思ったんだ。まぁどうせ有るのかどうかも解らん"粗末なもの"だ。そのままでも変わらんとは思うが、鼻も曲がる。しまってイイぞ?」 ( … … ハイッ? 何だって?) 余りの事に、俺は自分の耳を疑うのと共に固まってしまった。 「 いや、もう冗談キツいっすね。え~と、イイんすよね?」 まさか?と思う気持ちもあり、再度念を押して確認する。 「 ああ、イイぞ?しかし、いくら粗末に小さかろうが、匂う奴は匂うものだな? 」 〈 ブチン! 〉 あ~神様仏様、さっきの店の雅様。 俺はもう駄目だ… たった今、頭の中で変な音が聞こえて来ました。 そう、あれっス。 キレました。もうキレちゃいました俺。 …ので、今日。 今宵今晩この一時に、俺は初めて人を殺めてしまうかも知れません… 母さん、父さん。さっきの店の雅♪様… どうか罪深き俺をお許しください。
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