第1話【 …home 】

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  …これは事件だ。 「 こんのヤローッ!! テメェ~コラッ!"冬季-フユキ-" ーッ!!何処行きやがったぁーッ!!!」 《 ドタバタッ!ドタバタッ…! 》 閉ざされた扉一枚を隔てた先で、聞き慣れた女の声が、罵声となって響き渡る。 …そう。もう一度言おう。      これは事件だ。 何故なら。彼女が半狂乱で叫び探している"冬季"という男は、何を隠そうこの俺の事だからだ… ( …クソ。 ) 今此処で下手を打てば、間違いなく俺は彼女の手によって、人知れず樹海の土とされたあと、長い年月を掛ながら、徐々に生い茂る木々たちの肥料となってしまう事だろう。 ( …間違いない ) 《 …ブルブルッ!! 》 何とも形容しがたい恐怖からなのか、身体が小刻みに震えた。 だが… まぁ待て。 取り敢えず、今。 この俺の置かれている危機的状況を打破しよう。 考えるのはそれからだ!! 「 ふんっ!!」 瞬時、俺は瞼を閉じて気合いを入れた。 …そして ( グッ!…よし。そうだ。    ウグッ! ンガ、もう少し… もう少しだ… し、集中しろ。)       !? 《 ビクッ!?》 「 ンガッ!」 なン…ッ! …な!? なッ、なんだとーッ!? 何だ… 何なんだこの感覚は? ン、まるでそう。 俺の中のあらゆる憑きモノが、滞りなく全て洗い流されて行くかのような背徳と快感。 否!! そんな生易しいモノじゃない! これはそう。 あの聖母マリアの与えたもう、絶え間ない愛による最良の安堵か!? こんな生と死を別つような壮絶な狭間の中、俺の身体を惜しげもなく支配する快楽。 今、時は満ちた! 《 ブリッ! ブッ!! ブリブリブリッッ!! 》 ( あっ… ああ~アアア!!!     も、もぉ~、もォ~!!!)
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