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さてさて。無事に路地裏へと入って行き、頃合いな処で壁に向かって仁王立ち。
ここで素人さんは慌てちまうが、俺は"これ"に関しちゃベテランちゃんだぜ?
どれだけこの街で立ショ… イヤイヤ、飲み歩って来た事か。
挟まない様に、漏らさない様に…
そう。一つ一つの動作を確実にこなして行く事が大切なんだ。
昔、誰かが言っていたろ?
「家に帰るまでが遠足なんだよ!」ってさ?
これもおなじさぁ~。
最後の一滴まで振り絞り、ファスナーに"ナニ"を挟まず上げきるまでが仕事だ!
よーし、いいぞ。
( レッツ。放に○う~♪)
《 ッガチャン! 》
って、ン?
俺の後頭部に、何やら硬い鉄のようなものを押し当てられた様な… ?
「 振り向くなよ?」
…え?若い女の声?
「 お前に対して殺しの依頼がきていてな、申し訳ないが、せめて楽に死なせてやる。無駄な抵抗はせずに動かずそのまま目を瞑れ」
( え?え?え? これはいったいどういう事? )
突然の出来事に、俺は状況を把握出来ないまま、取り敢えず両手で万歳をしたまま壁にその両手を着いた。
…が。
( あ、ヤバイ!嫌だ!駄目、駄目、駄目だってば!らめ~!! )
そう。もうこの時には、俺の肉体はとっくに限界を越えていたんだ。
ただ。唯一の救いといえば、"全ての準備は整っていた"と言う事…
そう。整っていたんだ。
《 ジョー、ジョバジョバジョバジョバーッ!!》
最早。その滝の様に流れ出でる"そいつ"を止める事など誰にも出来ず。
勿論。自身の意思でもそれは叶う筈もかった。
( あ~、御免なさい。御免なさい!お願い、お願いだから見ないで聞かないでぇ~!!)
それは恐らく時間にすれば高々15秒足らずであったであろうか?
だがしかし。この時の俺には30秒、1分にも感じられる程に長く感じられたんだ…
それもその筈。
後頭部には、銃らしきものを突きつけられたまま
俺は"ナニ"を垂れ下げたままのあられもない姿で両手を壁に着いている
そして。事もあろうか、殺すと発言されているその最中。
適度に開かれた足元では緩やかな湯気を立たせてしまっているのだから。
( ああ、此処は歓楽街。この一連の出来事が、どこぞの店のプレイとかだったらイイのに… )
《ゴリッ!》
( ッ!?)
俺が、そんな下らない事を考えていると、後頭部へと押し付けられている銃口らしきものを、さっきよりもさらに強い力で押し付けられた。
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