自立

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《ええ、現世への執着や怨み等が少なかったそうです、寿命を全うしても色々な思いが残るものです。 特に負の思いが多いと輪廻の輪には入れません。 次の生が最初から曲がってしまいますので、そんなことになると魂が歪んでしまいます。》 《私の祖父母は負の思いが少なかったのですか? 良かったです。》 流石にもう抱っこはしなかったが優しく抱きしめて、 《現世での終わりを 心穏やかに、心残りは少なく向かえることの出来る人間は極僅かです、二人はその僅かな方に入っています。》 《私は自分の思いだけで動いてしまいました、お祖父様 お祖母様への恩返し それだけで、御二人の御気持ちをおもんばかることを致しませんでした。 それに気付きまして、そうそうに御屋敷から逃げ出してしまいました。》 《マリー よく頑張りましたね、二人共に早く輪廻の輪に入ったということは、さほど悔いのない最後だった筈です。 アンジェラはパトリックを待って仲良く昇華しているのです。 貴女の頑張った証ですよ。》 マリオンはゼロの胸で泣いていたが、傍でフェンリルが (おいおい、またなにを生やすんだ?) と思っていたことは誰も知らない。 マリオンが落ち着いた頃にゼロから 《マリー、明日は私の神殿に来ませんか?》 《私が伺っても良いのですか? ふうちゃんも宜しいでしょうか?》 《マリー、俺は行かなくてもいいぞ。》 《フェンリルが知っていますから連れて来てもらってください。》 《えっ!ええ?》 《ふうちゃん ご存知ですか? 明日 参りましょう?………だめですか?》 《フェンリル?》 笑いをこらえながらゼロの追撃が来て悲しげなマリオンに見つめられて 《わかった、連れていくからそんな顔するんじゃねえ。》 《ふうちゃん 大好きです!》 フェンリルの首に飛びついたマリオンは顔をスリスリとしていた。 《フェンリル ズルいですね。》
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