第6話

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 キスは思ったより長いものになった。部屋は暖かく、壮真の身体もあたたかかったのに、触れた唇はまだ冷たかった。舌を絡ませたとき、口内も驚くほど冷たかった。二人とも酒を飲んだせいだ。自分から舌を挿し込んだつもりだったのに気づくと壮真の舌に絡め取られ、押し戻され、壮真の舌が絢人の口内を舐めまわしていた。隅々まで舌を這わされ、上下の歯茎も優しく下で撫でられ、絢人は腰がとろけそうだった。あそこが立ち上がってくるのを感じる。 「ベッドに行こう」と壮真が耳元で囁く。またキスされそうになるのをかわしながら、絢人は 「待って、でもするなら準備しないと」と壮真を押し戻した。一瞬、壮真の動作が止む気配がしたが、 「いいよ」と壮真がまた耳元で囁く。「いいんだ、このままベッドに行こう」  ベッドに押し倒され、枕元のリモコンで壮真が明かりを消すと、部屋は真っ暗になった。カーテンは閉めなくていいの? と聞くと、誰も見てないよ、と笑って返された。近くに高層階のマンションはここ以外ないからな、と言われた。  絢人はさっきの「いいよ」の意味を考えていた。必要ないよ、という意味だろうか。としても向こうが受けになろうとしていることは考えにくいから(そういう人間はそもそも絢人のことを誘わない)、じゃあフェラを求められているんだろうか。  確かにバイやストレートの男でも、そういう遊戯だけを楽しむ男というのは結構いる。絢人は少し落胆した。そういう男は、絢人にフェラをさせて自分だけイッてしまい、絢人の快感は無視することが多いから。  でも、キスはたとえようもなく気持ちよかった。絢人を押し倒した男は腰を押し付けながら、今度は巧みに自分の舌を使って絢人の舌を誘い、つられて自分のテリトリーにやって来たその敏感なものを甘噛みした。ああ、と絢人の体に電流が走る。どうしてこんなことを知っているんだろう。自分がこうされると、とてつもなく感じてしまうことを。その間も、絢人の腰に押し付けられているものはどんどん重量を増していく。
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