勝負のその後

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何か調子狂うな。なんて思いながら落ち着かないように辺りを見渡している怜を眺める。 「まぁ外は寒いし中入んぞ」 「え、ちょっと待ってください!」 服の裾を掴まれ行動をとめられる。 「ちょっと、あの、何て挨拶すれば良いんですか?」 珍しく慌てた様子を見せた怜に視線を落とす。自信なさそうな小さな声。これはこれで新鮮で面白いな。 「お前嫁入りの挨拶でもする気か?別に良いけど」 「しませんよ!!」 真剣な怜を茶化したら予想以上に強く背中を叩かれた。恥ずかしさを隠すために怒っていることを強調するような表情だ。 「今は親居ないだろうし、つうか帰ってくるか分かんねぇから別に挨拶とか大丈夫。俺が勝手に連れてきたんだから、そんなの気にすんな」 「ついてきたのは僕ですから!」 怜がムッとした顔をして、何か言いたそうだが、その口は閉じたまま。怜の頭の中だけで留めているようだ。 「……その言い方だと自分の意思で来たことになるけど?」 「文句ありますか?」 「ありません」 緩む口許を手で覆って隠す。 本当こいつ怖ぇな。これは、まぁ、嵌まるよな。
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