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居ないって言うから連れて帰ってきたのに。
「……えっと、何でしょうか。どこかで見たことのあるような」
「…思い出さなくていい」
無駄な事に頭を悩ませている怜を制していると下の方から向けられる2つの視線に気付く。
茉子と莉子が不思議そうに見上げていた。「ねぇ」と切り出してきたのは茉子だ。
「お兄様と怜ちゃんはどういう関係なの?」
「結婚するの?」
子どもらしい余計なものを無視した、まっさらな考えに少し吹き出しそうになる。どうやら双子の中で汐音の一つの質問が引っかかったらしい。
怜はこんな質問をコイツらから受けてどんな顔をしてるだろうかと視線を移すと、しっかりと目があった。
向こうも窺うような目だった為、あぁ同じ事考えてんだな。と思い、そっちの方に意識を取られてしまう。
これは地味に嬉しい。
「「お兄様?」」
2つの幼い声が回答を促す。また怜と視線が合った。
瞬間的に逸らした怜に込み上げる笑みは抑えられない。
「俺と怜の秘密。だからお前らには教えねぇよ」
えー!!と不満に溢れた二音よりも「ありがとうございます!!」という絶叫の方が耳に強く残った。
俺が家に帰ってない間に不治の病は酷く進行を続けているらしい。
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