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襲う静けさの中、動きが無くなってしまった渚に不安を覚え始める。僕も動けない。
「……あんま可愛い事言ってっと襲うぞコラ」
コツンと頭に軽い衝撃をもらう。渚が額で痛くもない頭突きしてきたようだ。
「……何でそうなるんですか。良いから退いてくださいよ。邪魔です!」
自分でもかなり恥ずかしい事を言ったと理解している。今更どうにもならない程の羞恥心に見舞われていて、冷静ぶってないとどうにかなりそうだった。
渚の空気に簡単に流された事が悔やまれる。
「こっち向いたら離してやるよ」
「嫌です」
瞬間的に沈黙。静か過ぎる空間で僕の鼓動が身体中にうるさいくらい響いていて焦りが募る。
早く落ち着かないと。
「…何考えてんの?」
「わっ………、」
スルッと首筋を冷たいものが撫でた。駆け抜ける擽ったさから積極的に逃げ出そうとすると真っ黒な瞳と交わってしまう。
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