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渚の罠にまんまと掛かり、彼の計画通り動いた僕は渚を楽しませた。
「…前より首弱くなったな」
「びっくりしただけです。いきなりだったので」
納得いかないような渚は「じゃあ」と確かめるように僕の首もとに触れる。ただ困ったことに触れ方が、なぞるような曖昧さがあって堪えるのが辛い。
意識をどこに逃がそうとしても身を捩りたくなるような擽ったさが襲ってくる。
「……っ」
ジッと僕から目を離さない渚の目は勿論見ることは出来なくて、明らかに我慢し強がって堪えようとしている僕は渚の目から見ても滑稽だろう。
いつもみたいに余裕かましている渚を睨みつけたかったがそんな反抗も出来無くなっていた。
渚の人差し指がツーっと首筋を降りる。それまで触れるか触れないかの際どい感覚だったのに、いきなり意志のはっきりする触り方をされて思わずその手を掴む。
目が合った。
「……降参です、から」
僕の口からそう洩れた時、渚の口角が得意そうに上がったのが見えた。
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