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2つの小さな寝息が微かに聞こえてきて僕は手にしていた本を静かに閉じる。
……寝ましたね。
ベッドサイドの灯りを少し暗くし、淡い赤っぽい光を浴びる良く似た2人の寝顔を確認した。
あの後から茉子ちゃんと莉子ちゃんの宿題を見て、ピアノとお琴の演奏を順番に聴いて(上手だった)ボードゲームを一緒にして、夕飯をご馳走になって……この間ずっと汐音ちゃんが色々な質問をしてきた。少し疲れを感じる。
渚は殆ど遠目から眺めてるだけで何を考えてるのか全く分からなかった。
音を立てないようにベッドサイドにある椅子から腰を上げて寝る前に読むにはエキサイトし過ぎに思う物語を本棚にしまう。
2時間程いた所為か見慣れてしまった女の子らしい部屋にやっぱり居心地の悪さは少し感じている。
──ガチャ
ノックは無く、ただ静かに扉が開いた。
「あ、渚」
「寝たか?」
頷いた僕を見て足音を消し部屋に入ってくる渚は何かを横に抱えていた。そこで、ふと今日が何日なのか思い出す。
「サンタさんですか?」
「汐音が親から預かってたらしい。これ」
綺麗に包装された2つのプレゼントの中身は同じ物なのか形は変わりない。
「そんな面倒くさそうにプレゼント運んで来ないでくださいよ。仮にも今は子どもに夢を届けるサンタさんなんでしょ?」
「中身が自分達の欲しい物だったらどんな奴がどう運んだって喜ぶだろコイツらは」
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