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「…お前もっと俺に告白した方が良いと思う」
自分でも驚きのグーパンチが渚の肩に当たった。渚が少し痛そうにしているが僕も手に相当のダメージを負った。
「あのさ、言葉で会話しようとか思わないわけ?」
「…渚が馬鹿なこと言うからですよ」
ここで横からデコピンを仕掛けてくる辺り渚も同類だ。不機嫌な顔をすればもう一打加えられるので、やられる前に片手で掬った雪を渚に掛けた。
「あ、綺麗」
粉状の雪は風に浚われやすく流れていく雪の粉が太陽の光りでキラキラとしている。少し感動して数回繰り返してみた。
「…冷てぇんだけど」
「雪ですから」
渚は僕の手を払って止めさせた。無言で圧を与えてみたが、渚が雪を掴んだので止めた。
「怜寒くない?長い時間雪の上に座ってただろ?中に入るか?」
何だかこの優しさは狡いと思う。別に放っておいてくれても良いのに。
「…大丈夫ですよ。 まだ此処に居たいです」
ただの言葉で静かに舞い上がらせる渚の所為で僕もたまには素直に口にしてみようかなとか考えてしまうんだ。凄く悔しい事に。
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