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「あなたが求める限り、
共に在ることを許して下さい、
といったら傲慢ですか?」
力なく首を振って応えた彼は、
不安の色の残る瞳で見上げて来る。
「でも、
私には何もない。
差し出せるものは何も」
その手を取って
そっと口付ける。
「それに、
どうせ、先にいなくなってしまうんだろう」
絶望の先の諦観。
それを感じて思わず、
主の頬に手を伸ばす。
「誓います。
あなたを置いて死んだりしません。
だから、
私のほしいものをくれますか?」
返事は待たずに顔を近づける。
元より、選択肢などない。
それは質問ではなく、
確認なのだから。
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