第1話

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 昨日から降り続く雨はまだ止みそうにない。 「お茶、淹れたから」  しっとりと濡れた草木を  恨めしそうに見つめる横顔に声をかける。 「いつまでそうやってるつもり?」  濃い目に煮出したお茶にたっぷりのミルク。  これくらいで機嫌が直るとは思わないが、 最善は尽くしてみる。 「また来ればいい」  寄越された視線は非難の色を湛えている。 「前にそう言ってから、 どれくらい経ったと思うんです?」  私だって。 町の占い師から晴天祈願の人形を買って、 この日を心待ちにしていた。
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