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なかなか来られなかったのは私のせいではないのに。
そしてこの雨も。
「じゃ、雨の中、出掛けてみる?」
二人で馬を走らせて、
森の中でランチを取るはずだった。
一年でもっとも美しいこの季節。
風を切って自由に森を駆け抜ける喜びは、
一度味わうと忘れ難い。
「そんなこと、
させられるわけないでしょう」
漸く腰を上げた彼がゆっくりと歩み寄って来る。
手にしたトレイを受け取って、
サイドボードの上に置く。
そんな何気ない仕草にさえ、
一縷の無駄もなく、
もちろん、
ソーサーにお茶を零すなんてことはない。
「……でも、約束した」
思わず声に出た呟きを聞きつけて、
彼が形の良い眉を上げた。
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