気持ち

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「ちさ先輩、コンパ行きましょ! 年上の商社マンばっかなんですよ!! 行きましょうよ~」 語尾にハートマークをつけて 優樹菜からおねだり攻撃を受けている昼休み。 今日は珍しく優樹菜と外に食べに出ている。 天気がいいので、日がよく入りそうな 窓際の席を選んだが、 若者向けのカフェだけあって わたしたちの後の組ですでに満席だ。 「早めに出てきてよかったよね。」 少し遅れてきたOLたちが 待ち時間を聞いて店から離れて行くのを見ながらわたしは答える。 「んもう!先輩話そらさないでください!」 ぷくっと頬を膨らましながら優樹菜が言う。 「こんなこと聞くのあれですけど、… 先輩、まだ引きずってます?」 『あれですけど、』と言いながらも ぐさっと核心に触れてくる。 変に気遣いしないところが彼女の良いところでもあるのだけれど。 「そんなんじゃないよ。 今はちょっと休憩かな」 そう言いながらも頭に浮かぶのはなぜか 関西弁の彼。 「じゃぁ次は絶対来てくださいね!」 優樹菜の勝手な約束に そーだねーと曖昧な返事をしながら やっとテーブルに運ばれてきた 桜エビのパスタを口へ入れる。 優樹菜は、好きな男性のタイプだとか、 過去に付き合った最悪な彼氏の話だとか、 ひたすら恋愛の話を続けた。 会社に戻ると 営業課にお使いを頼まれていると言う優樹菜とは エレベーター前で別れて わたしは階段で2階に上がることにした。 営業課は6階で、優斗がいるところだ。 とてもじゃないがまだ会う勇気はない。 いつもなら2階でもエレベーターを使うのだが食後の運動に、なんて 普段考えないことをしたもんだから。 想像もしていないことが起こったりするものだ。 経理に用があったのか、2階から革靴の音を響かせて降りてくる 長身の男の人。 みんなめんどくさがって階段なんて使わないのに。 なんで。 「千里…。」 その懐かしい声に心臓がドクンと はねあがる。 別れを告げられて以来会ってなかった。 優斗… なんだか少し痩せたようにも見える。 「俺、4月から大阪支店に転勤になったから。」 「…うん。」 「…ほんとに千里のこと愛してたよ。」 「……。」
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