188人が本棚に入れています
本棚に追加
予想外の相手に、私の鼓動がドクンと一気に跳ね上がる。
うそ……。
どうして寄りによって、相手が伊波君なの。
「なぁ倉町。俺ごとでスゲー悪いんだけどさ、早くどいてくれないか?」
「えっ……?」
伊波君に指摘されて、私はハッと我を取り戻す。
気がつけば、伊波君の下半身に乗ってしまっていた。
顔が真っ赤になってしまう。
恥ずかしいっ……! 私ったら、これじゃ伊波君を襲ってる変態じゃない!
「ごっ、ごめんなさい!」
慌てて伊波君から離れ、恥ずかしさのあまり背中を向けてしまう。
階段から落ちそうになったところを受け止めてくれたのに、恥ずかしくて顔が見れない。
……心臓がバクバクしてる。
呼吸が乱れて、顔の頬っぺたがとても熱い。
どうしていつもこうなのかな。
あのときも──痴漢から助けてもらったのに、お礼の一言も伝えられなくて伊波君の前から逃げてしまった。
私って、弱虫。
今回もまた、同じことを繰り返してる……。
最初のコメントを投稿しよう!