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「なぁ、倉町。これ、お前の眼鏡だよな?」
「眼鏡?」
伊波君の声に振り向返る私。
あ、ホントだ、眼鏡がない。転んだ拍子に落としちゃってたのね。
……通りでぼんやりしてると思った。
「私、やっぱりドジ」
そんな風に自分のことを情けなく思っていると、伊波君がじっと私を見つめていた。
その行動に、思わず胸がキュンとしてしまう。
伊波君が──私を見てる。
「あ、あの……眼鏡」
「え? あ、ああ……悪い」
伊波君は一瞬ハッとして、私に眼鏡を手渡した。
するとまた、私の顔をまっすぐ見つめながら伊波君は────
「前から思ってたんだけどさ」
「?」
「倉町、眼鏡ない方が可愛いよな」
透き通る笑顔。
伊波君の笑った顔は、すべての女の子を虜にしてしまいそうなくらい素敵だった。
可愛い。
こ、この私が、可愛い……。
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