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すれ違いすれ違い、人々が街中を行き交う。 こんなにも沢山の人が歩いているのに、私だけが世界から切り離された気分だった。 自分を変えたい。 けれど、どれだけ願っても、人は簡単には変われない。 たとえ神様に祈っても、私は変われない。 弱虫だから、いつも逃げてばかりいるから。 それでも。 伊波君にだけは見て欲しい。 私が、彼の一番になりたい。 本音、本心。 神様に祈っても変われない。 それは、私が努力もせず逃げてばかりいるから。 だったら、少しずつだけど頑張っていけば私も変われるのかな。 伊波君の一番に、なれるのかな。 なれたら、いいな。 「倉町!」 声が聞こえた。 伊波君の声が──私に届いた。
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