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いいな。やっぱり素敵だな、伊波君の笑顔。
まだ、心臓がドキドキしてる。
伊波君を見ていると、胸が苦しくなって鼓動が脈打つのがわかる。
「……伊波君」
私は縁結びのお守りを胸元に抱きしめて、そっと目を閉じた。
神様──縁結びの神様が、私と伊波君を引き合わせてくれたの?
それとも……。
ゆっくりと目を開き、私は再び歩き出す。
「……学校で、か」
それって、伊波君が少しは私を見てくれてるってことなのかな。
だったら、嬉しい。
結菜の教えてくれた通り、私も自信を持っていいのかな。
彼を──伊波君を好きでいていいのかな。
もしいいなら、これからもっと伊波君を知っていきたい。
だって彼は、ずっと私の中で特別な存在だから。
私は街中を一人歩き進めながら、伊波君のことばかり考えていた。
迫る横断歩道。
私の意識はソレを捉えず、ただふわふわとした気持ちが全身を包み込んでいた。
だから、気が付けない。
さっきも階段のでドジを踏んだばかりなのに、私は無警戒だった。
伊波君のことで頭が一杯だった。
それが──全ての運命を狂わせる。
『お、おい、危ない!』
「──え?」
ガシャン!!
瞬間、全身に今まで感じたことのない衝撃が走った。
まるで大きなハンマーで容赦なく殴られたような。
強烈な痛みを一瞬感じ、すぐに感覚が途切れた。
ぬるま湯に浸かっているとても不思議な感覚。
そう。
私は愚かなことに、赤信号の横断歩道を渡り──そして車に跳ねられてしまったのである。
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