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はぁはぁはぁ……く、苦しい。
痛みはないのに、身体がまったく動いてくれない。
寒い……それに、ひどく熱い。
車に轢かれた。
……ひょっとして私、死ぬの?
『は、早く救急車を呼べ! このままじゃ手遅れになるぞ!』
『こ、ここまで血を流してたら……もう』
『だ、誰か……助けてあげて!』
私の周りで沢山の声が聞こえる。
ああ、そっか。
見ず知らずの人たちが、私を必死で助けてくれようとしてるんだ。
あはは……やっぱり私って、ドジ。
いつもいつも他人に迷惑を掛けて、好きな人にも迷惑を掛けて。
やっと、少しは自信が持てるかもって思ったのに。
やっと、大好きな彼と仲良くなれるかもって思ったのに。
……ホント最低。
「…………ぅ」
涙がこぼれる。
悔しくて情けなくて、涙が止まらない。
死にたくない、死にたくないけれど……心臓の鼓動が弱くなっているのがわかる。
きっと、もう無理だ。
私は今日──ここで死ぬ。
「……い、伊波君、ごめん」
私はボロボロと涙を流しながら、最期の力を振り絞ってお守りを握りしめる。
せっかく、部活の練習に遅れてでも、お守りを届けてくれたのに。
伊波君、ありがとう。
こんな私のために、一生懸命になってくれて。
……もし、もしね。
また、生まれ変われたなら──今度こそ伊波君に告白したい。
伊波君、私に笑顔をいっぱいくれて本当にありがとう。
大好きだよ。
私の──かけがえのない人。
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