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非情で、残酷な現実が、私の全身に降り懸かる。
自然と、両目から涙が落ちた。
「……そう、ですか」
わかっていた。
あのとき車に轢かれて、私は死んでしまったことを。
でも。
あまりに、残酷過ぎる。
「…………うぅ……うっ」
ボロボロと涙がこぼれ止まらない。
頭には結菜の、伊波君の顔が浮かびあがってくる。
鮮明に甦ってくる。
もう二度と会えない。
自分の不注意だとわかっていても、二度と会えないと思うと涙が止まらない。
どうして私だけ、いつもいつもこんなに不幸なの。
大好きなお母さんが死んで、あの日が一番辛いと思っていたのに。
もう……誰とも離れたくないと思っていたのに。
私はこの先、二度と皆と会うことはできないんだ。
「……全部、どうでもいい」
涙を止めることなく、絶望に打ちひしがれながら言った。
「神様、早く私を裁いてください。どこにでもいきますから……」
辛いなら、忘れるしかない。
二度と会えないなら、諦めるしかない。
それが、一番楽な方法だと知っている。
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