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伊波光介(イナミコウスケ)君。 私と同じ高校二年生でサッカー部のエース。 誰にでも優しい笑顔の素敵なクラスメート。 でも、ちょっぴりSな感じ。 伊波君は、沢山の女の子から人気のあるイケメンな男子だった。 そりゃモテるよね。 イケメンで爽やかで、それにサッカー部のエースだもん。 地味な私が好きになったところで、彼が振り向いてくれるはずがない。 結菜もだけど、この学校には可愛い女の子が多い。 だから、私の入る隙間なんて最初からない。 そんなのわかってる。 わかってるからこそ、高望みはしないって決めていた。 この好きな気持ちを言葉にして壊れるくらいなら、私はずっと片思いのままでいい。 「その顔、図星?」 「……うぅ」 「あはは。やっぱり凛、伊波君のことが好きだったのね」 また結菜は、悪戯っぽく笑った。 「いじわる」 「ごめんごめん」 と、謝る結菜の可愛い笑顔が、私にはとても羨ましく思えていた。 せめて、結菜みたいに愛嬌よく笑うことができたらな……。
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