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「ち、違うよ。私は別に、伊波君のことが好きなわけじゃ……」
「隠しても無駄。凛の顔に"伊波君が好き"って書いてある」
「……や、やめてよからかうのは」
私は頬に熱を感じて歩幅を早める。
「照れなくてもいいのにね。別に好きな人がいてもおかしくないしさ、キスしたいとかエッチしたいとか思うのは健康な証じゃない」
「……でも」
「でも?」
「彼、人気あるし……私が望んでも良い相手じゃないって」
「ばかね。恋に良い悪いなんかないわよ。とはいっても……確かに伊波君って人気あるよわね。彼女とかいそう」
伊波君の彼女。
「……ん」
一瞬、私の胸が締め付けられる気がした。
彼女か。伊波君ならいても不思議じゃない。
けど。
……やだな、やっぱり。
「いっそ、凛が告白しちゃいなよ。好きなんでしょ、彼のこと」
「こ、告白!?」
「で、できるわけないよ! い、伊波君に告白なんて……この私が」
「なんで?」
「……だ、だって私地味だし……ねくら町とか言われてるし……それに眼鏡だから」
「眼鏡は関係ないでしょ……。あと、自分でねくら町とか言わない」
ポコン。
結菜はサっと私を追い越し、そして軽く頭をチョップした。
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