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「……とはいっても、やっぱり自信なんて簡単には持てないよね」
はぁ……と落ち込み溜め息をこぼす。
そのとき私は、すっかり忘れてしまっていた。
今、自分が階段を下りている最中であることを────
瞬間、ズルっと足を滑らせてしまう。
「!?」
足元に気を配っていなかった。それが災いした。
……ちょっと待って。
このまま落ちたら私、頭から床に落ちて死んじゃう?
そんな──いやっ。
だ、誰か助けて!
「倉町!?」
「!?」
バランスを崩して落下する私の耳に、私の名前を呼ぶ男の人の声がハッキリと聞こえた。
まさか。
「「!!」」
ドンッ。
私はその男子に受け止められ、二人とも床に倒れ込む。
うぅ……痛い。
「…………」
身体に痛みを感じながら、おもむろに目を開ける私。
「……いってぇ。だ、大丈夫か、倉町?」
紛れもなく、私を受け止めてくれたのは──あの伊波君だった。
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