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ジャングルジムの上で、ゆうたがどっしりと、えらそうに座っていた。
「なぁゆうたー、そろそろみんな帰ってくるぞー」
わたしは、ほいく園の外を見て言う。
「わかってる……でも、じき『あらし』が来る。だからオレはここでみはってるんだ。オレたち戦隊のちから、みせてやる!」
「なぁー、まだごっこあそびしてんのかー?」
わたしはもう年長さんだから、ごっこあそびはやめた。
「そんなだと、いつかいたい目みるぞー」
「フン、オレはサバイバルのエリートだ! 生まれてすぐにほいく園へはいったヤツとはちげぇぜ」
ゆうたは、手にもったプラスチックのオモチャをいじりながら言った。
「もー……」
そうしていると、わたしのもとへ『つうしん』がきた。
「はーい、こちらえり、どうぞー」
《こちら、第一教導隊。保育園外周にて演習中、ジュブナイルハンターの襲撃を受けた。そちらにも向っていると思われる。注意しろ》
「きたか……!」
言うがはやいか、黒いなにかが園のそとにみえた。それと同時に、ゆうたもプラスチック製の軽量アサルトライフル(おもちゃ)、『XM―8』のセーフティをはずして、かまえ、うっていた。でも何ぱつかしたらでなくなっちゃった。
「クソ、ジャム(弾詰ま)りやがった!」
「だからいったじゃない、これはごっこじゃないんだから、マトモなやつにしろってー!」
わたしはシールドとスナイパーライフルをもって、ゆうたのフォローに入った。
――これは、子供をつけねらうエイリアンに侵略をうけた人類が、『保育園型要塞』をつくり、抗戦を広げる未来のお話。
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