芝刈り半蔵

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 帝都にはびこる悪の芝。刈ってみせると息まくは一人の侍、芝刈り半蔵。  今日も『ぱそこん』に向かい合っては、wの根元を残しそぎ落とす。 「クソワロタwwwwうぇww」  このような文あらば、斬り捨て御免。 「クソワロタ…………うぇ……」  生やすなら、刈ってみせよう愚民共。 『お前ら…………』 『くっそ…………』 『オウフ……ドプフォ……フォカヌポゥ……』 『フェヒヒヒ…………』  この世に芝なぞ必要ない。あれは文に生えた悪しき雑草。今刈らねば、いずれ文の全てがwでまかり通る時代が来ようぞ。それは文学の終焉である。  それだけは避けねばならない!  だがしかし、あらぬ問題が起こることもある。 『http://・・・.ahoo.jp』  しまった。www(ワールドワイドウェブ)まで消してしまったではないか。まぁいい。また生えてくるだろう、どうせ。  しかし悪いことは続くものだ。  芝刈り半蔵の下へ、不穏な影が近づく。  雑草を刈ったときの独特のにおいを撒きながら、えんじんの駆動する音と共にそれはやってきた。  芝刈り機aa(アスキーアート)である。 「この果てしない草むらを、ワイが芝刈り機とともに駆けるはずやったのに……なんてことしてくれまんねん」  威(おど)すような関西なまりに、半蔵は芝刈刀を抜いて応える。 「ふ、早い者勝ちよ」 「ほんなら、実力で倒すしかありまへんな」  うなる芝刈り機と、さえる芝刈刀は、やがて火花と共に交じり合った。  あたりには、芝が生え始めていた。
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