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「千聖には、花園と白鳥を組ませる」
「なんで?」
「俺には……俺の思惑があるんだ。言わなくてもわかるだろ?」
慎之助の顔に白鳥は吹き出す。
「あははははっ……俺達なら、手を出さないわな。どんだけ心配なんだよ?」
「っ……笑うなっ!それに……それだけじゃない」
「なんだよ?」
笑いすぎて涙が出たのか、白鳥は目元を指で拭う。
「俺の目が離れたことで、何に狙われるかわからない。侵入は不可能だと思っていても、万が一どこかに潜んでいたら……絆愛に侵入するほどの相手なら、一番力が弱そうに見える、体の小さな千聖が狙われかねない」
「俺とミィで守れって?」
「相撲部屈指の強さを誇る二人がついてるんだ。簡単に手出しできないはずだ」
慎之助は白鳥を見つめる。
「頼めるか?」
「しかたねえな……頼まれてやるよ。ミィも千聖ちゃんがいてくれたら落ち着くだろ」
「すまない」
ホッと厳しい顔をゆるめた慎之助を見て、白鳥は安心した顔をする。
「藍原って千聖ちゃんには激甘だったんだな」
「懲罰期間の短縮を申請しようと思っていたが、今回は……」
「きっちり務めさせていただきます!頼むよ~。早く終わりたい!毎日の緊張が寿命を縮めるんだからな。ミィと掃除サボってただけで三ヶ月なんだから」
半泣きの白鳥を見て少し笑うと、慎之助は千聖と花園を呼んだ。
「千聖、白鳥と花園についてくれ。この二人なら知らない相手ではないだろう?」
「俺が?せやけど慎之助は?」
「俺はここに残る。生徒会として一人でつくことになるが、いけるか?」
困った顔をしながらも千聖は小さく頷く。
「千聖ちゃん、よろしく。俺ら生徒会の人間と行動するように言われたから、あの探偵もどきと組まされるのだけは断固お断りしたくて。もう、千聖ちゃんだと願ったりだよ♪」
白鳥がはしゃいで言うのを聞いて、千聖も花園も笑う。
「気を付けろよ」
「うん」
白鳥と目を合わせてから、何度も振り返る千聖を見送り、慎之助は校長棟へとまた入った。
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