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「あの二人、当分戻ってけえへんわ」
千聖は小声で慎之助にそう言うと、『上手いこと出たわ~』と、出て行った方向を見る。
「今頃、絶対イチャついとる。会長の目ぇが乙女の目になっとった」
羨ましいのか『ええなあ~』と慎之助を見る。
「い、今はそんなこと…」
「わかっとるよ!アホっ」
プイッと横を向きふくれている。
「お腹も減ってイラついとんや!」
「そういや、朝食もまだだな……皆、腹が空いただろうな」
「たぶんな。グーグー鳴っとるかも」
お腹を撫でながら千聖は『俺も鳴りそうや』と苦笑いしている。
「校長やここの生徒の朝食はいつもどうしていた?」
「俺達が交代で人数分作る。校長だけお膳を運び、俺達はここで」
「献立は誰が?自分達でか?」
みんな首を振る。
「寮の食堂といっしょだ。一ヶ月の献立を前月20日にもらう。材料もそちらから校長棟用にもらうんだ」
慎之助はまた腕を組み考える。
「やはり、外部より何かを手に入れることは難しいな。自分達で外部より食材を持ち込むと言うなら、可能性としてありそうだが…」
「それはない。まして俺達は懲罰中なんだから。外部と接触させるはずがない」
「ならよけい、毒物を手に入れるなんて無理だろう。学校内では、生徒会以外ネットも利用できないんだ。手に入れようがない」
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