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だが、可能性として0であっても、疑いを晴らす材料としては弱い。
「やはり、救急委員か梵部医師から連絡をもらうか、誰かが学校に戻って来ないことには何とも言えないし、どうにもできないな」
「ほんまに、何やっとんやろ?四時間は経つのになあ」
そんな話をしている間も、金田市は捜査を続けているのか、時折一人言が聞こえたり、激しく咳き込む声が聞こえる。
「また、校長の汗が滲みこんどったんやな。あんなんばっかり舐めとったら、それこそ体に悪いんちゃう?」
「でも、校長の脂は万能薬だって聞いたぞ」
白鳥は『なあ…』と他の生徒に確認する。
「効能は、しもやけ・あかぎれ・冷え症・腰痛・肩凝り・うちみ・くじき……」
「入浴剤みたいやな」
千聖の呟きに場が和む。
「今のは塗った場合だ。飲むと……」
「の、飲む?飲めるん?」
金田市の様子から、とても飲める代物には思えない。
「飲むと精力増強で夜の性活もバッチリってことで、みんな喉から手が出るほど欲しがってるって。子宝に恵まれた夫婦もいるって話」
「精力……増強」
千聖がチラリと慎之助を見ると、嫌な予感がしたのか慎之助は頭を激しく左右に振っている。
「一晩にどんだけ飲むん?」
「爪楊枝の先にのせるか、耳かき1杯じゃなかったかな?それ以上は胃に穴があくらしい。しかも、腐らないから常温で保管できるってよ」
それを聞き千聖は手を叩いて喜ぶ。
「ええやん。一斗缶に満タンは欲しい!!」
「要らん!俺には必要ないだろ!!」
不意に入ってきた慎之助の叫びに、みんなはじっーと慎之助を見る。
「藍原……おまえって、そんなに激しいのか?すげえな」
白鳥がこっそり慎之助の耳元で囁く。
「なっ…!!」
「千聖ちゃん、あんなに小さい体でよくもつなあ……」
「ち、違うっ!!」
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