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それでも時間は過ぎていき10時を過ぎた頃、先徒会長の要望が通り(おそらく葉隠の手際)、先生方から食事の許可がおりた。
寮の生徒達は既に所要時間3分で食事を済ませ、生徒会や校長棟の生徒達以外全校授業(マラソン・グランド100周:約100km)に入ったらしい。
ヘタに別々の教室にいるより、一ヶ所に集めておいた方が先生の目も届くという結論だろう。
そして、朝からの鬱憤を爆発させぬよう、地味に体力を奪う目的もあるようだ。
なお、絆愛でのマラソンは、いつも重りを着けて行われ、この日も見た目を考慮しつつ20kg~80kgの重りがそれぞれの背負子(オーダーメイドで30kgある)にランダムに載せられた。
「え~…寮の生徒は全員グランドに出した。生徒会と校長棟の生徒は交替で食事にいくように。ただし、生徒会と組み、校長棟の生徒だけでの単独行動は禁止とする」
先生がそう言い退出すると、花園は『疑われてるんだな……俺達』とポツリと弱々しく呟いた。
「そんなことあらへん。先生らには先生らの考えあるんちゃう?気にせんでええやん」
励ます千聖に『そうかな?』と力なく返事をして、さらに大きな体を小さくする。
「白鳥」
慎之助が白鳥をこっそり呼び千聖達から離れた。
「俺は金田市先輩を一人で残しておけないから残る」
「ほうっておけば?あんなヤツ」
あらぬ疑いを掛けられた恨みは、早々に消えそうにない。
「そうはいかない。万が一にも曲者が侵入しているのなら、一人残すことは危険だ」
「やられたらやられた時だろ?アイツのせいでもあるんだ、ミィがあんなに落ち込んでるのは!あんなヤツ、どうなったって知るか!」
白鳥には白鳥の言い分があるようだ。
興奮する白鳥を宥め慎之助は小声で話す。
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