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会長と葉隠が戻り、慎之助は二人を廊下の奥へと連れていった。
「校長棟に緊急脱出用の隠し通路などないな?」
「俺は聞いたことがない。わざわざそんな通路を使わずとも、校長なら壁を一撃で破壊して逃げ出せるだろう」
葉隠は会長に『聞いたことありますか?』と訊ねる。
「生徒会長職の引き継ぎでも聞かなかった。俺も朝陽が言うように、わざわざ作らないと思う」
「だとすると、やはり俺は……内部犯・外部犯による毒物混入と言うより、真相はもっと全く別な部分にあるかと思う」
そこまで言うと、千聖や白鳥、花園が戻ってきた。
廊下に集まっている三人に気づき、『なんかあったん?』と千聖達が三人の元へやってきた。
慎之助は広告で作った箱を見せる。
「これと同じようなものが多数ストックされていた。校長はこの中に何か入れて食べていたように思う」
「何かとは?」
葉隠は慎之助を見てから白鳥達を見るが、白鳥達も首を振る。
「座敷机に置かれた箱の中から推測して、おそらくは唐辛子のついた何か。それも校長自ら七輪を用いてまで作っていた節がある」
会長と葉隠は首を傾げる。
「校長の作っていた物と、箱の中身を結び付けるものは?」
「校長の作ったあとの空気の状態から考え、唐辛子のついた何かだと考えられる。つまり、この中には生徒の知らない唐辛子の……ツマミのような物が入ってたんではないか?」
「それは飴がわりだて言うブート・ジョロキアとは違うのか?」
葉隠の問いに慎之助は首を左右に振る。
「ブート・ジョロキアはおそらく、生のままだっただろう。飴がわりだと言っていたからな。箱の中身は粉末状の鷹の爪とブート・ジョロキアと思われる激辛唐辛子の粉末……何かにふりかけられたか、からめられていた」
「それはいったい?」
「あくまで俺の想像だが、それは……」
慎之助が言おうとすると、
「梵部医師と救急委員が帰ってきたぞぉ~!!」
外から声が聞こえた。
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