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「それで…校長はいったい?」
そろそろしびれを切らせた会長が、頬をひきつらせて笑い急かせる。
「ああ……持病の痔の緊急手術をしておったんじゃ」
「「「痔?」」」
一同、予想外の解答に次の声があがらない。
「やはり、辛い唐辛子を食べ過ぎたせいでしょうか?」
「そればかりとは言えんが、影響しておるだろう。まあ、今日は手術をしたからな。日帰り手術にしようなどと考えるのはあやつらしいわ。くわっくわっくわ…」
「そったらこと、おかしいっぺ!校長はなして青酸カリを?」
梵部医師の肩を掴み、金田市は体を揺する。
「さっきから何を言っとるんだ、貴様は?」
振り上げた杖がまともに金田市の足の間でヒットし、金田市は股間を押さえのたうち回る。
「儂は一言も“青酸カリ”など口にしてはおらん」
「だ、だども……アーモンド臭がするって…」
ぴょんぴょん跳びはねながら金田市は訊ねる。
「それは、おそらく…」
慎之助が広告で作った箱を見せる。
「おそらく、この中に入っていたものが、唐辛子の粉末をたくさんつけ調理されたアーモンド」
「どういうことだっぺ!?」
「口寂しい折りに、飴がわりに舐めていた唐辛子同様、つまんで食べておられたんだろう」
「そうだ!儂はずっと止めるように言っておったが、儂にバレるのを恐れ、こっそり自分で作っておったのだろう……まったく、幾つになっても、手のかかる腕白坊主が!」
梵部医師にかかれば、霊長類最強の漢ですら、腕白坊主扱いだ。
と、言うより、校長を“坊主”呼ばわりできるのなんて、世界広しと言えど、梵部医師くらいだろう。
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