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慎之助は紙コップの糸電話を使い、寮長へと伝達する。
「こちら一年藍原。一年全員確認できました」
『了解。現在一年の生徒は?』
「各自の部屋で制服に着替え待機中です。連絡があり次第、一年はすぐ動けます」
『やっぱ藍原…仕事が早い……ふふふ、さすがだね。あ、割り込み電話だ。一年引き続き待機ね。藍原は生徒会で召集あるはずだ。留守中は一年は俺が見るから任せて』
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
ポコリと紙コップを置き『ふう…』と一つ息を吐く。
「慎之助…」
同じ部屋の柳小路千聖が、不安げに慎之助の袖を引き見上げる。
「千聖行くぞ。生徒会の召集があるはずだ」
「うん…。せやけど、朝練の慎之助と一緒に制服着といてよかった。今からやったら不安でボタンも留められへんだわ」
袖を持つ千聖の手も震えている。
「大丈夫だ。千聖は俺と一緒にいろ。何があっても離れるなよ」
「うん」
ギュッと千聖の手を力強く握り、慎之助は千聖の手を引きながら廊下を走った。
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