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「藍原、柳小路」
寮の入り口を出ると、生徒会役員棟から華月生徒会長と葉隠会計が出てきた。
「状況は?」
「まだわからない。校長棟の方角から半鐘が鳴っていた」
葉隠が首を振り校長棟を指さす。
「そうか。それならまずそちらへ行こう。おそらく先生方も来られているだろう」
「他の役員は?まだ二年生とか来てへんで……」
「なら柳小路残れ。俺と会長と藍原は先に行く。揃ったら連れてきてくれ」
葉隠の言葉に、千聖は『えっ…』と言ってから顔を曇らせる。
「葉隠、何があったのか状況がわからないうちは、こんな場所に千聖を一人残せない。ちょっと待ってくれ」
慎之助は寮へ戻り入り口の糸電話を取る。
「寮長、藍原です」
『どうした?何かわかったのか?』
「二年の生徒会役員がまだなんです。それで伝言をお願いしたくて……三役と柳小路は先に校長棟へ行くと。大至急後を追うようにお願いいたします」
『二年ね…わかった。ちょっとシバいてくるから先に行って』
糸電話越しに、寮長自慢の荒縄のねじれる音が聞こえた。
「待たせた。行くぞ」
千聖はホッとした顔で後を追う。
「相変わらず、甘いな。公私混同は認められない」
葉隠は冷たく言い放つ。
「それはお互い様だろ」
慎之助の言葉に、葉隠はふんっと鼻を鳴らした。
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